GEW12月号
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規則改定で見える新たな開発の可能性ゴルフ市場への影響は如何に?規則改定で「飛ばないボール」BSボール企画 宮川直之課長「ボールの金額シェアは3社(タイトリスト、BS、ダンロップ)が争ってますが、数量は昨年当社が1位になった。ホンマが伸ばしてるので『ツアーステージ』の低価格帯(エクストラディスタンス)で対抗中」キャスコ藤原雅彦部門長「市場は低価格品とツアーモデルの二極化です。低価格はホンマとBSのシェアが高く、よく見える『キラボール』や飛距離特化の『ゼウスインパクト』などに注力します」インターゴルフ工房「飛ばないボールに対するヘッドやシャフトメーカーの開発に期待したい。もしかしたら『飛びの3要素』に次ぐ新要素が発見できるかも」ディテクト浮谷卓匡社長「インドアゴルフは飛ばないワンピースボールが主流なので、ルール改定の影響はないでしょう。機械本体にボールデータを合わせ込む機能があるので柔軟に対応できます」シーディアイ中神浩貴係長「ユニコーの計測器はボール設定をノーマル、ソフト、ハードで選べます。練習場用ボールでもコースボールに近い初速や回転数を設定できるため、規則改定は問題ありません」宇井浩己氏る。クラブやアパレルを含めた全体の売上に占めるボールの割合は4%未満ですからね、ボールメーカーの利益も薄くなる。となれば、販促コストの捻出も厳しくなってくるでしょう」かつて高級消費財と言われたゴルフボールは、大きな変革もなく、契約プロの活躍等でブランド維持に努めてきたが、高値安定は難しい。そこに商機を見つけて参戦したのが、「ホンマです。1ダース2000円ほどで投入した『D1』が一気に低価格帯のシェアを広げ、プロパー品の実売価格を押し下げた」 安本社長の指摘には、多くの同業他社が頷くところ。『D1』のデビューは2016年。アベレージ層のニーズを満たす「コスパ製品」として、マーケットポジションを獲得した。その戦略について、同社ボール企画部の鈴木隆弘氏は次のように説明する。「大手は『プロが求める性能』を開発の軸にしていますが、当社の『D1』はコスパモデルに位置付けて、スピン性能に特化、飛距離性能に特化など、アベレージ層のニーズを明確化。その上で最適な価格を提案したのです。特にウレタンカバーの2ピース『D1スピン』は、ツアーボール重視の大手が手を出しにくい領域だったと思います」価格は大手のツアー系ボールの半分以下。この決断が奏功した。ところが、近年はさらに世知辛くなって、『D1』の領域をロストボールが侵食している。他人が池に入れたボールを回収し、リペイントで再生したロストボールは、もともと1個400~500円の高性能ボールだから人気があるのも頷ける。 ロストを専門に扱う博多ゴルフ商会は、約600のゴルフ場からボールを仕入れて専門店等に卸している。同社によればロストボールの国内販売量は100万ダース規模で、新品ボールの1割程度を占めるという。この100万ダースを巡り、節約志向のゴルファーが店頭のワゴンで物色している。同じくロストボール業者のアイゴルフ・岩崎陽平社長が、面白い話を聞かせてくれた。「当社はECでも販売してますが、今もナイキのボールしか使わない人や、初期の『プロV1』信者、Bマークではない『ツアーステージ』を探す層が一定数いる。終売ボールに希少価値を感じるんでしょう」いやはや……。消耗品のボールにもマニアック層は存在する。まだある。別の面でロストボールの価値を語るのは、埼玉県のゴルフ練習場・新富ゴルフプラザの坂東枝美子専務である。「当社は近隣に住宅がない250ヤードの施設で、コースボールと同じ打感や飛び姿を確認したいお客様はロストボールを望みます。ロストなのでメーカーはバラバラ。だけどお陰様で好評です」練習場は通常、単層構造の「たこ                027DECEMBER 2024

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