169営者協会(NGK)はこのほど、今年2月末時点のゴルフ場数が前年比9コース減少して、冒頭の数になったと発表した。最多は2002年の2460コースだから、計291コース閉鎖している。NGKは毎年、ゴルフ場利用税の課税状況から延べゴルフ場入場者数とゴルフ場数を発表。ゴルフ場から都道府県に納付された翌月の集計データが基になるため、集計期間は前年3月から当年2月まで。細部をまとめる作業から、例年この時期の発表となっている。高度経済成長やバブル景気を経て、順調に数を増やしたゴルフ場が初めて減少したのは2003年(3減)のことだったが、NGKの大石順一専務理事によれば2010年(13減)から本格化したという。翌年は東日本大震災の影響で、当時過去最多の「単年度で最多の閉鎖は2014年の50コース。これは震災の余波があったことに加え、政府の補助金が出たことでゴルフ場を太陽光発電に替える動きが本格化。その準備が整ったのがこの年で、一気に閉場が相次いだのです」。日本ゴルフ場経2010年からは14年連続の減少で、2016年(35減)、2017年(25減)、2019年(21減)が目立っている。コロナ特需にわいた過去数年も減少は止まらず、閉鎖理由の多様化も不気味な兆候だ。「私が2023年度で注目しているのは、経営内容に関係なく、好立地のゴルフ場が物流センターに替わるなど、用地の効率活用で閉鎖されたことなんです。代表的なのが昭和の森(都内)と西神戸(兵庫)で、富里(千葉)も空港の拡張工事で閉鎖した。注視すべき動きです」ECの隆盛で倉庫需要が高まる昨今だが、平地で生活インフラが整っているゴルフ場は大規模転用の好餌になりやすく、「黒字閉鎖」の憂き目に遭う可能性が高いという。その一方、コロナ特需の余韻が残る延べ入場者数は一応堅調。2023年度は前年比161万人減の8968万人(1・8%減)となったものの、コロナ前の2019年比では371万人増加(4・3%増)して、1ゴルフ場当たり3年連続4万人突破となっている。しかし、「安心はできません」最大の懸念は、団塊の世代が総じて後期高齢者に突入する2025年問題で、これを食い止めるためにはゴルフ場の「自由度」が不可欠だと大石専務理事は強調する。「プレーは3ホールでも構わないという自由な文化を定着させ、シニアの健康維持に寄与する産業にならなければ。ゴルフは18ホール回るべきとの固定観念が無理を強いて、体を壊したら本末転倒ですから。ところが、自由なゴルフを邪魔する一例に税制がある。ゴルフ場利用税の在り方も阻害要因と言えます」前年度の利用税額は439億円(1・6%減)だが、徴税は18ホールプレーを前提としているため、朝イチのティーショットを打ってから具合が悪くなり、プレーをやめても18ホール分課税される。「そうではなく、3ホールのプレーは税額を6分の1にするなど臨機応変な対応が望ましい。自治体の税務課に要請する必要があります」ゴルフ場の減少を需給調整の一環 2― と諦めるムキは多いのだが、一度失えば再生は困難だけに、あらゆる手立てを講じる必要がある。(片山)030賑わいを見せるゴルフ場だが先行きは……19コースが閉鎖したが、Golf Course01ゴルフ場の減少止まらず多様化する閉鎖の理由とは?INSIDE STORYINSIDE STORY
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