障害者ゴルファー日本一を決める「第29回日本障害者オープンゴルフ選手権」(11月11、12日)が、福岡県の麻生飯塚GCで開催された。ハンディキャップ15以下で、障害者の特別ルールではなくJGAルールを使用する世界障害者ゴルフランキング対象の「グランプリの部」の他「車いすの部」「片マヒの部」「女子の部」など10部門に総勢69名が参加した。グランプリの部優勝は過去3勝している第一人者・吉田隼人選手。2日間通算150ストローク6オーバーで2位に12打差。平均飛距離290ヤードの飛ばし屋だ。「昨年、OBを打って敗れたリベンジを果たせました」と喜びを語った。 この大会初日、障害者のためのクラブフィッティングがブリヂストンゴルファーズドックにより初めて行われた。ブリヂストンスポーツの小暮良輔課長は、「障害者支援を行いたいと考えていました。メーカーは物を作って売る時代からサービス、ソリューションの提供に変わっていく中で、日本障害者ゴルフ協会の松田浩子代表理事と相談し開催を決めました」 担当した押川忠徳フィッターは、「スイングは個性なので、実は健常者も障害者も変わらないんです。人の動きやクラブの動きを見て、クラブの動きの中でインパクトの状態をゼロ状態、まっすぐ当るのがベストです。その人がどうしたいのかを確認する最初の問診、コミュニケーションが重要。目的が明確で、それに対する原因が分かって解決でき、最後の答え合わせがフィッティングなんですね。障害者が可動領域を制限されるのであれば、クラブは自由に選べるという選択肢があるので、そこを活用すべきだと思います」 フィッティングは一人30分、クラブグリップにセンサーを付けてスイングを計測し、100種類のシャフトと20数個のヘッドを組み合わせた2万通り超から選ぶ。今回は12名が受診したが、その一人、パラリンピックで3個のメダルを獲得した山本篤選手(左大腿切断)は、「使用中のクラブが最適かどうか分からないので、フィッティングを受けてデータを知り、今よりいい物が判りました。明日も試合なので試合が終わってからが良かった(笑)」 と、方向性の良くなるスペックを使ってみたいと希望していた。下地泰之選手(上肢欠損)は、「フィッティングは初めてではありませんが、変な固定概念を持って狭い範囲で決めていたと思います。かなり幅広く見てもらうことで、今回初めて使うシャフトと一番軽いものが意外に良く、明日の試合ですぐにでも使いたいです」また、女子の部出場の片倉郁江選手(左上肢1/2以上欠損)は、「こんなにちゃんとしてもらったのは初めてです。フィッティングしたドライバーが一番気持ちよく振れ、フィッティングして良かったです。グリップの握り方もチェックしてもらい、ベストスコアが更新できるかもしれません。試合会場で受けられるのが嬉しいですね」と好評であった。フィッティングは練習場で行われたが、他の障害者ゴルファーも仲間が受診しているのを見ながら会話と笑い声が絶えなかった。ゴルフ競技とフィッティングを楽しむ姿からは、障害者と健常者、年齢、性別を超えて楽しめるゴルフの多様性への対応力を感じた。(嶋崎)031DECEMBER 2024道具を選べるゴルフの特性が障碍者にマッチする02SDGs障害者ゴルファーの大会でBSがフィッティング会開催INSIDE STORYINSIDE STORY
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