GEW12月号
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           今年3月のジャパンゴルフフェア(JGF)で、サブスクで利用できる一人乗りカート『バベル』を披露したのがGEAR社だ。その同社は11月、豊田グループ傘下のTOYODAクリエイティブ社から資本提携を受け入れた。「これにより、来春正式に一人乗りカートを発売できます」GEAR社の木村博文会長は、喜色満面の様子でそう話す。製品名も『バベル』から『TOYODAG‐CART』に変更される。木村会長の説明を聞こう。「JGF以後、多くのゴルフ場から問い合わせがあり、実際にコースでテストをしていたんです。そんな折に資本提携の話が舞い込んできた。当初は今年夏前の発売予定でしたが、資本提携に向けて改善したため、来春の発売になりました」 このカート、座っても立っても運転でき、ハンドルとブレーキ等を操るもので、車体重量は72㎏。簡易な操縦で最高時速15㎞で走行できる。改善点は、動力となるバッテリーの出力制御や急停止しないためのスムーズなブレーキ制御、モーター、車体の安全性や耐久性など多岐にわたった。耐久性では外国人や体格の大きなゴルファーに対応するため、耐衝撃を前作の3倍に増強した。テスト走行は18ホール換算で100ラウンドほどこなし、ゴルフ場が導入しやすいよう、保険会社と折衝して専用の車両保険もつくった。JGFでの公開当時に3年契約、月額使用料2万5000円のサブスクを提案したが、それは変わらず、複数のゴルフ場から注文を受け、来春の発売時には約1000台の出荷を予定している。「さるゴルフ場からは120台の注文がありました。30組分の台数なので、ゴルフ場の運営スタイルが変わると思います」風を切って走れば快適なプレーが楽しめる。今夏の酷暑でフェアウェイへのカート乗り入れを解禁したコースも多く、一人乗りカートへの注目が高まりそう。特筆すべきは、プレー時間をハーフ60~90分に短縮できることだという。現状では2時間15分程度のプレーを「推奨」するゴルフ場が多いのだが、ハーフ1時間となれば半分以下に抑えられる。その分、入場者を増やせるわけだ。「コースのメンテナンス時間を考えれば、すべて一人乗りカートに入れ替えても60~70組が限界だと思います。それでも現状のキャパは大きく超えるでしょうし、初期費用は基本ゼロ、使用料1台で月額2万5000円のサブスクなので、ゴルフ場の収益改善に寄与するはず」木村会長はそう力説する。 18ホールのゴルフ場で、一日の消化能力は40組程度が一般的。一人乗りで消化能力が高まる一方、70歳以上の高齢者がプレー人口の2割超を占めるため、運転に関わるレクチャーも必要なはず。理想はフラットなコースだが、斜面がきついゴルフ場での使用基準も明確にする必要があるだろう。また、今回の資本提携は海外展開も見据えてのことだという。「提携先は世界中に拠点を持つ企業グループの関連会社なので、海外展開を行うときに様々な協力が得られるでしょう。世界中のゴルフ事情を変えられるプロダクトだと思うので、積極的に展開したいですね」来春の出荷予定は約1000台。市場席巻の序章となる?(吉村)033DECEMBER 2024左:GEAR・木村博文会長 中央:TOYODAクリエイティブ・豊田浩之代表取締役社長 右:GEAR・盛山武紀社長04Golf Course来春1000台出荷予定一人乗りカートで経営改善もINSIDE STORYINSIDE STORY

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