GEW12月号
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       大日本印刷がゴルフ市場に参入した。というと、少し大袈裟かもしれないが、業容を広げる同社にはコンテンツ・XRコミュニケーション本部という部署があり、そこの竹下竜太部長によれば、「当社はアニメや漫画のライセンスを活用しており、これを使ってゴルフクラブの販売に乗り出します」同社は様々なアニメのライセンスを保有しているが、アニメのロゴなどをクラブのヘッドやシャフト、グリップに印刷した「FUN'SGOLF」を立ち上げた。キャッチフレーズは「本格的なゴルフギアに少しのアソビゴコロを。」というもので、第一弾はアメリカンコミックの「マーベル」コレクション。ウォルト・ディズニー傘下の漫画出版社で、1961年に社名を「マーベル・コミック」として、「スパイダーマン」「アイアンマン」など数々のスーパーヒーローを生み出した。そのロゴを印刷したアイアンセット、パター、グリップなどを11月に発売した。 竹下部長が経緯を話す。「当社の経営陣はゴルフ好きが多く、本社(東京都新宿区市谷)近くのフィッティングスタジオに立ち寄ることが多かった。そこのスタッフと話すうちに、今回のビジネスを思いついたのです」対象は「ロマロ」のヘッドと「KBS」のシャフト、「カデロ」のグリップで、それぞれに「マーベル」のロゴを印刷。これを組み立てた完成品のアイアンセットやグリップ単体、「ARGOLF」のパターにはロゴが刻印される。この発想を各メーカーに取り次いだのは、市谷の4plusフィッティングラボだった。今回のロゴなどは、転写、シール貼りという普通のもの。ゴルフクラブに着目したのは、パーツごとにブランド・企業が異なるため、それぞれがダブル│ネームにできるからだという。「クラブは3つのパーツからできており、それぞれアニメのロゴを印刷すると付加価値が生み出せると考えたのです。アイアンセットには特注の色を採用しましたが、カスタマイズできるのがゴルフクラブの良いところだと思います」来春発売予定の第二弾では「スターウォーズ」が登場するほか、計10のアニメや漫画が候補にあがり、初年度は上代ベースで10億円を計画中。肝心の販路は当面、自社ECとゴルフ専門店が中心になるというが、来春までに100店舗との取引を目指す。シャフト「KBS」を展開するFSTジャパンの石井伸太氏は、「面白い取り組みだと思います。今後2~3年で韓国やインドネシアなどアジア商圏でも販売するそう。第二弾の『スターウォーズ』は世界中にファンがいます。単なるグッズではなく、本格的なギアに印刷することで付加価値を生み、我々にとってもPR材料になるでしょう」今後はパーツだけではなく、大手クラブメーカーとの協業にも意欲的だ。竹下部長によれば、「フルセットのクラブやボール、ティーやマーカーだけではなく、最終的にはアパレルまで展開したい。どこまで広がるかわかりませんが、トライ&エラーでダメなら撤退するかもしれません(笑)」ダメなら撤退というフットワークの軽さが、いいのかもしれない。諸事堅苦しいのがゴルフ業界の倣いだが、手詰まり感は否めない。大手印刷会社の遊び心でちょっぴり風穴が開くことを期待したい。(吉村)035DECEMBER 2024遊び心が満載と竹下竜太部長06New Comer大日本印刷が業界参入アニメのロゴをクラブに印刷INSIDE STORYINSIDE STORY

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