GEW12月号
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父の家とか、古い建物の一角でやったりとか。1年ほどして学習塾が多い南浦和に起業しました」塾の世界っていうのは優秀な先生がそれなりにカリスマ性を発揮して、超難関校の合格率が9割とか…。「いえ。どちらかというと受験ではなく、通常のお勉強以外のプラスαを扱っていて、対象も幼児から高校生までと広いんですね。多いのは幼稚園児や小学校の低学年。一時は東京と埼玉で10店舗以上やってましたが、今は3店舗で生徒数は600名ほど。一番人気は川口の教室で、実家の一部でやってます」なんで人気があるんですか。「……………それが、わからないんです。敢えて言えば、定性的な話ですけど、空間の雰囲気なんでしょうか。父母がブドウを栽培していて、母がデザインに精通してるので塾の一角だけ軽井沢みたいな雰囲気なんですね。アットホームな空気感で、アクセスも便利で……一言では説明できないんですが」親が子供にブドウをあげたり?「そうなんです。そういう空気感は簡単にはつくれないので」その雰囲気をチェーン展開するのは無理でしょうね。年齢は?「49です」じゃあ起業して20年近く経ちますね。塾の月謝はいくらですか。「1万円ちょっとなので、相場的には安い部類かもしれません。先生は10名弱で運営しています」 その世界からいきなりゴルフ業界に入ってきた。どんな経緯ですか。「学習塾のスタートは2005年で、その7年後、2012年に『ゼンゴルフレンジ』を始めます。きっかけは、神楽坂で飲食店をしている友人から『いい場所があるからやらない?』って誘われたことでした。もともとゴルフが好きで、2011年に結婚して、神楽坂に引っ越して、周囲に練習場がなくて困ってたんです。屋外練習場が軒並み閉鎖した時代だったから、周囲のゴルファーも不便だろうなって思いまして」練習場難民が多いだろうと。どんなスタイルで始めたんですか。「1号店は今の原型ですが、約85坪で7打席、プロ1名が常駐するスタイルです。2012年の夏前に物件を見て、すぐ気に入りました」事前に市場調査はしたんですか。「正直言って、全く調べてません」直感で出しちゃった?              「そうですね。さすがに今は綿密に調べますが、当時はほぼ直感です。だけど直感は大事だと思っていて、神楽坂に精通している友人の目利きがあって、彼も事業をしているし、私も事業家の端くれなので、それなりに勘が働くというか」将棋の羽生さんが「直感はサイエンスだ」と書いてました。凄い数の勝負をこなしてきて、何十万通りの選択肢から瞬時に差し手を選ぶのは、経験からくる科学的な直感だと。「実は、私も完全にそうだと思ってるんですよ。おこがましいかもしれませんが、データがない無意識レベルの事象については直感しかないと思ってるので、完全に同意します。1号店は物件を見てすぐ決めたんですね。大久保通り沿いの飯田橋から神楽坂のあたりの路面店で、もとはタクシー会社の事務所だったとか。最初は不動産屋に断られましたが、しつこく足を運んだら『いくらでもいいよ』って話になって」家賃はいくら?「そこはちょっと言えませんが、かなり安いと思います(笑)」投資額はどれくらいですか。「2500万円ほどで、内装とシミュレーター費用がメインです。シミュレーターは『Ⅹゴルフ』で、3~4社の機械を検討しましたが、当時は見る目がなかったので、エージェントの推薦で決めたんです」エージェントって何ですか。「プロの派遣代行業者です」レッスンプロを派遣する業者?「はい。今も4社とお取引をしてますが、そこはPGAの資格保有者が在籍してるんですね。我々が雇用するプロは3パターンで、正社員(28名)と派遣会社(22名)、個人の業務委託契約(26名)です」派遣会社からの引き抜きもあり?「いえいえ、それは絶対ダメです。た1号店の出店は直感が頼りだった038実家川口で経営している塾

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