ほしいので、半年前のプロキャディ委員会で大学ゴルフ部の勧誘が決まりました。2校で2名のバイトが決まり、あと2校訪問します」総務部の山内崇暉係長はそう話すが、備えが難しいのは、来場動向の読みにくさだけが理由ではない。休みの確保は定着率のカギだけに、出勤調整に頭を悩ませる。「一日40組を上限とすれば、在籍42名で十分と思われるかもしれませんが、休みを勘定に入れなければいけません。また、好天の予報で予約なしの来場者が増えると予想して、多めの出勤を準備する。その予想が外れると大変です。キャディが余って待機手当を出すだけじゃなく、出勤扱いになる。すると別日に休みを確保する必要が生じます」名門ほど、会員のわがままが幅をきかす。そのシワ寄せがキャディのスケジュール管理にくる。まして、酷暑下における職場環境の整備に厚労省が目を光らせる昨今だ。山内係長の悩みは尽きない。紫CC(千葉、36H)を運営する ースはハウスキャディ20名+派遣30紫興業の小沼康弘取締役も、同様の課題に心を砕く。同CCのすみれコ名で対応しており、平日は25~28組、土日は32~33組をキャディ付きで回している。やはり休みの確保は優先課題で、「勤務は4週6休か7休で、これをしっかりやらないと離職につながってしまう。過去に学生バイトを依頼したものの、学生が働けるのは夏・冬の長期休みだから閑散期と重なってしまう。需給バランスが合わないんですよ。すみれは歩行のキャディ付きですが、乗用カートのキャディ付きに変更して、業務の負担を減らそうかと思ってます」同コースの最寄りは野田市駅で、秋葉原まで50分の通勤圏。来場者にとっては便利だが、労働者にとっては東京(最低賃金1113円)と千葉(同1026円)の賃金格差が気になるところで、東京圏に吸い込まれる。これも、キャディ確保の足枷となっている。同じく千葉のグリッサンドGC(18H)は、正社員キャディ5名、専属アルバイト約20名のほか、地元研修生やシニアプロなどで20名程度を確保している。バリエーションの豊かさが特徴で、多方面から搔き集めている印象だ。宮田泰子支配人は、「年平均にすると一日20組ほどですが、繁忙期は40組と季節によって幅があります。そこで配慮するのが専属バイト。組数が少ないときは優先的にキャディをしてもらい、社員キャディを他の業務に回したり、有休消化に充てています。上手に運営していくためには、如何に専属アルバイトと良い関係を保つかが重要だと思っています」以上、各社各様のキャディ事情を見てきたが、共通点は、キャディという立場の脆弱性と言えるかもしれない。流動性が強いためキャディ人口は把握できず、一部を除き、少ないハウスキャディを核にしながら多様な立場の人材を臨機応変に配する運営術が生命線だ。冒頭で触れたように、キャディ付きプレーの維持はハイエンド型経営を目指すゴルフ場にとって必須事項。それだけに、仁義なき引き抜き合戦が起きるなど、水面下の攻防は激しさを増す。一言でいえば、極めて不安定な状況なのだ。そこで、事態を重く見たゴルフ会員権売買大手の住地ゴルフは8月、キャディ不足のセミナーに百人超028
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