GEW9月号
36/49

「V『EnonoGolfR」「AR」「MR」を総称して「XR」と呼ぶが、ゴルフ業界にもその波が来そうだ。システム開発やデータコンサルを主力事業とするアビックシステムは8月、専用のVRゴーグルとコントローラーを使用し、バーチャルでゴルフの練習やラウンドができるソフト』(エノノゴルフ)を発表した。同社の伊藤義樹氏は、「目指すは『素振りの最上版』。練習場やインドアへの導線を作り、ゴルファー創出に寄与したい」と鼻息が荒い。2019年より開発に着手した同ソフトは、2020年より試作版を展開中。既に世界中で約4万5000ダウンロードを数え、今回新機能を追加して本格販売に踏み切った。「VR」とは「仮想現実」のことで、専用ゴーグルの中に映し出された仮想の空間を体験できるもの。ゴーグルは外部と視界を遮断するので、映像内の場所にいるような感覚になり、近年はゲームや映画などに応用されている。ゴルフ業界では目立った前例はなくブルーオーシャンだ。ではなぜ今、VRでの業界参入に踏み切ったのだろうか?「『エノノゴルフ』は当社にとって新規事業の位置付けです。まず私が大のゴルフ好きで、ゴルフを仕事にしたくて100枚以上のプレゼン資料と簡易版ソフトを作り、社内を説得したのが始まりです(笑)。2019年頃よりユーチューブのレッスン動画が流行り始めましたが、動画を観た後にすぐに試してみたくなるじゃないですか?そこで思いついたのがVRとゴルフの融合で、これが実現すれば自宅でもすぐに練習でき、初心者が気軽にゴルフを始められると        思ったのです」ゴルフの障壁は「気軽さ」が欠如している点。初心者にとって実は練習場に行くこと自体敷居が高く、いざ打席に立っても、球に全く当たらず心が折れる。教え魔のオジサンに絡まれた日には最悪だ。その打開策として期待されるのがゲームの存在で、近年は実際のスイング動作を伴う家庭用シミュレーターも登場した。VRを融合した今作は、より現実に近い体験が「気軽に」でき、初心者には最適と言えそう。使い方は『エノノゴルフ』のソフトをVRゴーグルにダウンロードし、素振り棒にコントローラーを装着。内蔵センサーが頭と棒の動きを読み取り、素振りするだけで映像内のボールを打てる。数種の弾道データや素振りの軌道も映し出されるので、自分のスイングが客観視できる仕様だ。また模範となるレッスンプロの立体映像も映し出されるため、それに合わせてスイングを修正できるなど、「素振りの最上版」と言えるこだわりを凝縮している。さらにドローン映像と360度画像を元に実際のゴルフ場を3D化。傾斜を再現したコースで仮想のラウンドができる。現実さながらの没入感が持ち味だ。現在は法人販売のみで、VRゴーグル代7万4800円に加え、ソフト利用料が月5万円。既にフィットネスジムなど3か所に導入中だが、今後は専用のサブスク料金を設定しゴルファーにも販売していく。「本製品でゴルファーを増やしたい。VR空間にプロが同時接続すればオンラインレッスンができるので、今後展開する予定です」タイガー・ウッズからレッスンを受けられる日も近い?(大矢)036ボールの飛び姿やインパクト音もかなりリアルに再現されているオンラインレッスンもできるVRでゴルファー創出New ComerNew Comer

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る