FTという言葉をご存知だろうか?「非代替性トークン」のことで、簡単に言えば、デジタルデータの所有権を証明する特別な証明書のようなもの。そのNFTとGPSを組み合わせたゴルフゲーム『GOLFIN』(ゴルフィン)が9月、ワンダーウォールからリリースされる。同社の小松賢社長によれば、「リアルなゴルフに『ポケモンGO』と『みんゴル』を融合させて、そこにNFTを加えて金融商品の側面を追加したイメージです」と説明するが、よくわからない。まず、ゴルフ場でプレーすると、一日の総付与ポイント、利用されたゴルフ場数、プレー人数により、アイテムやキャラクターを強化できるポイントが分配される。そのポイントでゲーム内のキャラクターやアイテムを強化して、強化したキャラクターで今後開催するeスポーツのゴルフ大会に参加。上位者は賞金を米ドルまたはトークンで獲得できる。「大会での勝敗はゲームスキルやアイテムのレベルで決まりますが、そのアイテムやキャラクターをNFTとして売買できます」ミソは、ゲームをしないゴルファーも、ゴルフをしないゲーマーも、共に楽しめるところにある。「ゲームをしないゴルファーは、ゴルフ場でのプレーで得たポイントで強化したキャラクターの経験値を、ゴルフをしないゲーマーに『スカラシップ』として貸せます。ゴルフをしないゲーマーは、借りた経験値でキャラクターやアイテムを強化して、eスポーツの大会でトークンを得られる。経験値を貸したゴルファーには、ゲーマーが大会で得たトークンを分配する仕組みです」両者は大会を通じて、NFTを売買で稼ぐことができる。『ゴルフィン』を開発した背景には近年の経済格差があるという。「リアルなゴルファーは比較的裕福で『陽キャ』だと思うんです。一方のゲーマーは『陰キャ』のイメージもある。その両者を『ゴルフィン』でつないで、経済の循環、経済格差の解消を実現したい」6月末までは、NFT会員権を販売した。これはゲーム内のアイテムなどを最初からもらえる特典付きの会員権。もらえるアイテムの数などで会員権のランクは3つあり、会員権価格は一口10万円から5000万円。今年6月までに総額5億円を販売した。今後は対応できるゴルフ場数を増やし、企業とも提携していく構え。収益化については、「ゲーム内でのアイテム購入だけではなく、ゴルフ場への送客やNFT売買の手数料もありますが、ゴルフダイジェストの人気漫画『オーイ!とんぼ』とのコラボNFTやアイテム販売での収益も計画します」2025年の事業目標は、ゲームアプリの目標ダウンロード数25万人、うち課金ユーザーは2万5000人。課金ユーザーの客単価は月平均3万円を予想しており、「売上90億円を見込みます」同社はゲーム、eスポーツ、オンラインカジノ、パチンコ、ゴルフなどを合算した市場規模を54兆円と試算しており、『ゴルフィン』はこの市場をターゲットとしている。ゴルフ場、メーカーなどのゴルフ関連企業は、ゴルフ場への集客や、自社のゴルフクラブをゲーム内アイテムへの採用などで『ゴルフィン』とコラボすれば、新たな収益源を生み出せるかもしれない。(吉村) N 037ゴルフとゲームとNFTで経済格差をなくしたいと強調する小松賢社長リアルゴルフとゲームの融合NFTを取り入れた新ビジネスNew ComerNew Comer
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