GEW9月号
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雑誌は紙を使って森林破壊してるとか言われますが、パルプ専用の植林がある。そういったことですね。「まぁそうです。トレーサビリティってありましてね、ソレがどこからどういう形で入って、どう使われるかまで見届ける活動です。例えば人権的に問題ある国や農園のゴムも使えません。先ほどのESGマネーにつきましては、その効果を実感できる段階ではありませんが、それよりも、対応しないと世の中から追い出されるという意識があって、事業をする上で世界的な常識なんです。ESGマネーを得るためではなく、企業としての在り姿の、ひとつの条件だと思います」企業の存在意義の話ですね。「そうです。例えば住友ゴムはOur 事業精神を柱にしてるんですよ」最近は「パーパス経営」という言い方をしますが、住友精神は「浮利を追わず」を創業から掲げています。「思想的にはイコールだと思いますが、我々のパーパスは『未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる』なんですね。ただ、冒頭にも言いましたが、住友ゴムとして取材されるなら私は適任ではあや造詣を深めたり、ビビッドに展開している会社です。よく言われるカーボンニュートラルにつきましても、具体的なKPIを設けてチャレンジしていて、別の言葉でいうと循環型社会に向けた企業価値の設計やESG、あるいはSDGsの観点でも長期目標を掲げています」よく、ESGマネーと言われますが、環境や社会に貢献している企業に投資マネーが集まってくる。ESG資産は来年53兆㌦に達するそうで、世界的なトレンドですね。「それが現状、どれほどの投資効果を生むかはともかく、そういったことです。日本のタイヤメーカー4社の中で、我々も外部機関から高い評価を得てますし、ESGの観点で言うと、ダイバーシティ・インクルージョン(個々の違いを認めて活用)の推進や、タイヤ製造の話をするとEUDR(欧州森林破壊防止規則)ってご存知ですか?」いえ、知りません。「ヨーロッパでタイヤを売ろうとすると、原材料の天然ゴムは森林破壊をしてない国の天然ゴムしか認められません。我々も当然、対応しなければいけないし、そういった条件が多岐にわたってあるんです」Philosophyを掲げていて、元々のりませんので、ご理解ください」そこは理解してますが、あとひとつだけお願いします。トウモロコシから抽出したバイオウレタンをカバーに使ったボール『スリクソンZスター+e』を試作してますが、「そのあたりの詳細もね、最新の事情はわかりませんし、開発の方向としては大事ですが、物事にはタイミングがあるので急ぎすぎるのはどうでしょう。環境問題は必ず巡ってくるので、仮にサステナブルな新素材で炭素から解放されて、パフォーマンスも同じなら、必ずこっちに変わるとは思ってますけど」そのときは独占できますね。特許でガッチリ抑えられる。「とは思いますよね。世界的にエシカルの意識が高まれば」エシカル消費、つまり倫理的消費           が今後のキーワードになる。「一例ですが、住友ゴムは天然ゴムで炊事用のゴム手袋を作ってるんですが、ふつうの炊事用手袋は日本では、塩化ビニールが一般的なんですよ。日本で塩ビが主流なのは、天然ゴムが割高なのであまり売れない。だけど世界的に塩ビを使ってるのは日本ぐらいだと思うんです。環境目線ではいずれ塩ビはなくなるでしょうが、今は売れない現実の中で、」バイオマスのボールも同じ話で、理想と現実の我慢比べ?「ある意味そういう話でしょう」という観点からゴルフ界を考察したいんですが、まずゴルフ緑化促進会の成り立ちから教えてください。「わかりました。今から50年ぐらい前に、日本興業銀行の頭取もされた中山素平さんの肝いりで設立したと言われてます。ゴルフ場開発が自然破壊で問題視されたので、ゴルファーから寄付を募って環境保全に役立てようと。ただ、ピークは400ぐらいのコースが参加したものの、今はしい状況にあります」当時の環境保全は植林ですか?「ゴルフ場開発は山を削るので、どちらかと言えば植林でしょうね。そのような活動がメインだった時を経て、今はどうかと言いますと、ゴルフ場は貴重な『緑資源』であり、植物が光合成をする場所であり、CO2を吸収して酸素を出している。むしろ環境に貢献しているので、単に森を緑化活動への理解が極めて薄い50コースほど。財源的には非常に厳042

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