増やす活動ではなくなっています。それと、協力金の使途はゴルフ場の環境整備には使いません」ゴルフ場の整備には使わない?「だって、ゴルフ場からの寄付金をゴルフ場の整備に使ったら利益相反になるじゃないですか。なので一般の環境整備、震災復興や伝統文化を守るための活動に力を入れてます。加盟コースに来場されたゴルファーから一人50円頂戴して、当初はかなりご賛同頂けましたが、その後ゴルフ場は冬の時代を迎えます。民事再生が盛んに行なわれて、自分のゴルフ場も守れないという状況では、寄付なんかできませんよね」でも、協力金は来場者の預かり金だからゴルフ場の懐は傷まない。「構造的にはそうですが、来場者の意識として、緑化に寄付してるという認識は薄いんじゃないですかね。その分、料金の中に含まれるので、実質的に支払いは増える」なるほど。ゴルファーにすればそ 担感が生じてしまう。の分値段が上がる。価格競争に苦しむゴルフ場としては一人50円でも負「仮に5万人の来場者として、掛けるそこから手数料(一人7円)をゴルフ場に戻して、差し引いた額をGGGの口座に振り込みますが、その250万円が厳しいわけで、かつての400コースがどんどん減っている。それと、我々の仕組みを参考にしたのかどうか、県連が『振興金』を徴収してますよね。それが一人数十円とすると、ゴルフ場にすればダブルで払ってる感覚になる。それで『緑化協力金は断ります』という流れも無視できません」「ゴルフ振興金」は国体の選手強化費がそもそもで、都道府県の7割ほどの県連が徴収しています。だけど「緑化」と「振興」は目的が全然違いますよね。「違いますし、ゴルフ場もGGGの活動は大事だとわかってると思うんですよ。わかっているけど、昨今の経営状況もあって『ごめんなさい、やめます』ということで……」なるほど。ゴルフ場にすれば緑化と振興金だけではなく、利用税とJGAの加盟料もある。四重で取られてる感じがあるんでしょうね。「だと思います」そんな状況で理事長を引き受けられたわけですが、就任は?「2021年6月です。十数年前に前理事長の大西久光さんから『あなたもそろそろ業界に貢献しないといけませんね』と言われまして、理事になったのがそもそもです。常任理事にもなって、理事会と常任理事会はずうっと出席しています」理事会で何を話すんですか。「会の運営が中心で、協力金の使途や企画内容、公益社団法人としての在り方を含めてです。それと、私は河川財団(公益財団法人)の理事もやっていて、ここは国土交通省の外郭団体ですが、そういったことを含めてね、公益活動について考えることはいろいろあります」河川は何をする財団ですか。「河川流域がありますでしょ、あれの研究等が中心ですが、必要なら書籍をあげましょうか?」いえ、ザッとでいいです。「河川に関わる研究の支援や、近年は洪水が頻繁なので、どこまで深い関わりかはともかくとして、河川流域の整備や防災部分の活動もあります。ゴルフ場には河川敷コースも多いので『あなたの知見を活かしてください』ということも、GGGの理事長に推された理由のひとつかもしれません」なるほど。それでGGGの活動ですが、読者の理解を深めるためにもう少し詳細を教えてください。「GGGの目的は先ほど軽く話したように、環境整備の意識で緑化をしてきましたが、今は様変わりして、ひとつは震災復興の緑化です。植栽が必要なところと不要なところがあるにせよ、植栽が不十分なところは山のように残されている。ご存知ないかもしれませんが」例えばどんなところですか?「ゴルフ場などの里地里山は、どちらかと言えばメンテナンス、つまり伐採や間伐が必要なんですが、植えるという観点の活動では岩手県二戸市と協働して『漆』の植栽(5年間8180本)をしています。なぜ漆を植えるかご存知ですか?」そうですねぇ。当て推量ですが漆が採れなくなって漆職人が減って、文化伝承が危機的とか?「二戸市に浄法寺というところがあって、そこは漆器の産地なんです。だけど漆の職人さんが植林せずに掻くもんだから、ハッと気づいたら漆がなくなっていて『これはいかん』ということで植えてるんです」「漆」の植栽で国宝の修理に貢献50円だと250万円じゃないですか。043
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